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それはきっと、幻じゃない。【気象系BL小説】

第1章 まぼろし




「へ…?」


『いや、だから、潤がうずくまった後、全然反応しなくて…
 怖くなったんだけど、見てみたらあまりにもスヤスヤ寝てるからさぁ…』


「あ、そう…」


『とりあえず、ベットに寝かしてるからさ…?』





深夜、通りに出てタクシーを拾う。


ほど近いマンションの住所を告げ、六本木通りを駆け抜けてもらう。



この街ほど、夜の喧騒が似合う街なんてないだろう。


正直、うるさいほどのネオンが窓から差し込んで…気が滅入る。


それでも、一本入れば高級住宅街だ。

大使館なんかも多くそびえるんだから。



地下の車寄せで降ろしてもらい、深夜料金を払う。

ちゃっかり領収書はいただいた。



…だって、なんとかしろって言ったのアナタだもんね?


副社長サン。



エントランスでヤツの電話を鳴らし、下まで降りてきてもらった。



「じゃ、あとは頼んだよ、ニノ。」


「おう…」


「あと…これ…一応…」


「ありがと…」


「できれば、使わないでほしいけど…」


「うん…」


「潤にもニノにも、幸せになってほしいからさ。」


「わかった…」


「じゃあ、ね。」


「ありがとな…いろいろ…」


「ううん、こちらこそ。
 あ、でももう俺、日本からいなくなるから、呼ばれてもいけないから。」


「え?」


「アメリカに、行くの。好きな人をね…救うために。」



「そっか…なんかあったら、いつでも言えよ?」


「ありがと。じゃあね。」





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