第1章 まぼろし
君の熱に浮かされた瞳。
俺の、熱い熱い身体…
「イこ…一緒に…」
「うん…」
お互いの手のスピードが一気に上がる。
「ああっ…」
「いいっ…」
いつの間にか君のおでこと自分のそれがピタッとくっついていて
目が合ってしまうのがはずかしい。
お互いを握り込む反対の手は、互いの身体を抱き寄せていて。
あったかい…
というか、熱い…
この恥ずかしさなんて、どこかに吹き飛んでいけばいい。
だって…
今だけでも、君を強く感じていたいから…
「「ああっ…」」
嬌声が重なって、二人で精をお互いの手に放った。
肩で息をしてるかずを抱き寄せる。
「気持ちかった…」
かずの、小さな小さな声が聞こえる。
「うん…そうだね…」
なんだか温かい時間だった。
そのぬくもりを破ったのは、一本の電話だった。
「はい?」
俺の携帯に、連絡が入った。
『松本、至急ドームの会議室に来い』
チーフマネの声だった。
「え?」
『副社長から話があるらしい。テレビ電話つないであるから』
「わかった」
「どうしたの…?」
ニノが少し寂しそうな顔をして、俺を見上げた。
「ちょっと副社長に呼ばれた」