第1章 まぼろし
息を短く吐いて、また刺そうとすると
ベットサイドのスツールに置いたヤツのスマホが
低い音を立てて鳴り出した。
チッと舌打ちをしてから、ヤツを抱えて
携帯をとりに行く。
「出ろよ」
「ふぇ?」
「出ろっつってんだよ」
俺が荒ぶってるのは
携帯の画面が見えたから。
「いやぁ…」
ヤツは涙を流しながら俺を見た。
「いじわるしないでぇ‥」
鼻で笑うと、ヤツはきゅっと締め付けた。
「そんなに俺が良いかよ」
“うん…”
コクっと頷くと、自ら腰を振り出した。
まだ、携帯は震え続ける
ヤツから与えられる振動に身を任せて
でも、
画面に出ていた文字が忘れられない
もう止んだ携帯の振動を愛おしく感じるぐらい
俺は貴方に惚れてんだ
胸が苦しいよ…?
貴方は、コイツに電話をして来たんだ
ってことは、そういう事で
俺は誰に嫉妬してるの…
コイツの身体?
求められてるコイツ?
それとも
画面に出てた貴方をあらわす文字?
“JUN M.”っていう…