第1章 まぼろし
蕩けるほどに解された、うしろに貴方が深く挿る。
正常位は貴方の顔が見れるから好きだ。
ぎゅっと抱きしめてくれる貴方の腕が好きだ。
ゆっくりと優しく抱いてくれる、
貴方が好きだ
「ほら、イっていいよ…?」
「や、だぁ…一緒…」
「じゃあ、一緒ね…」
お互いに短い叫び声を残して、最果てに上り詰めた。
シャワーを浴び終えて、帰ろうとする貴方を
玄関まで追いかける。
「ね、…今日は、泊まってかない…?」
「服、着てこいよ…」
小さく笑った貴方は、少し困ったような顔をして
「また、明日ね。」
朝が来るまでとは言わない。
せめて、夜明け前迄でも良かった。
貴方の温もりが欲しかった。
目の前で閉じられた玄関の分厚いドアと
鍵が閉まる無機質な音を聞いて
また絶望を感じるんだ