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それはきっと、幻じゃない。【気象系BL小説】

第1章 まぼろし





とあるレギュラーの放送日だった。


ヤツからの連絡が入ったのだ。


最近はオフもなければ息を吐く暇もなかったから


ヤツと会ったのは、翔さんとはもう会うなと言ったあの日が最後で。



コンサートのリハの帰りに会ってやろうと思った。



今日は俺のマンションに来てもらった。






「ねぇ、潤さぁ。」


「ん?」


「潤はさ、満たされてる?」


「へ?」



「…潤はさ。今の生活、満たされてる?」



…何を言い出すのかと思ったら。


散々掘られた後にそのままの格好で言い出すことじゃねぇだろ…




「うーん…どうだろ」


「好きな人、どうなったの?」



「別に。片思いのまんまだけど?」



「そっか…」



「何で?どうしたのいきなり」



「いや、なんか、あんま潤らしくないなぁって。」




「え…?」


「待ってるだけ、ってかさ。潤だったら、もっとグイグイ行ったらいいのに。」



「そうだなぁー…」




そう、あの時は結構グイグイ行った。



だって、最後まで行っちゃってるしね。



でもさ、あの時君は。



『酒のせいにしよう』って。


君は、そういったでしょ?だから…




「望みがかなり薄いんだよ。言って今の関係が崩れるよりは、今のままのほうがいい。」




「ふーん。」




ヤツはつまらなさそうに笑うと、俺を見上げて行った。




「でも、俺は早く言ったほうがいいと思うけどね?」





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