第1章 まぼろし
「分かったよ…もう、翔とは会わないからさ」
「そうして?だから、櫻井くんのデータは全部、俺にちょうだい?」
「分かった」
「潤のデータはそのまま持ってていいから」
「うん」
「で?ニノはどんな感じ?」
「んー…どうだろ…」
「ニノは秘密厳守だから、ニノのマンションの空き部屋にしばらく移ってもらうから」
「分かった」
「それと、ニノは写真撮っちゃダメだからね。」
「分かってる」
「はい、じゃあこれ櫻井くんの分。124万」
「ありがと」
「潤から聞いたけど、櫻井くんめっちゃヨカッタんだって?」
「…まあ、ね…いいってか、やり方の問題かな」
「ふぅん。…噂によると、ニノもやばいらしいけど」
「だと思うよ。なんとなく、そんな感じがした」
「わかるの?そういうの」
「…だって、今まで何人相手にしてると思ってんの」
「そうだな…」
「ニノとは、うまくいく気がする」
「そうか。それは良かった。」
「うん…」
「お前さ、」
「ん?」
「やめたくなったら、いつでも言えよ」
「うん。大丈夫。」
「別に俺、強要するつもりはないから…さ」
「でも、ニノ終わったら、…ちょっと考えたいかも…」
「そ?いいよ、全然。」
「そろそろ、アメリカへの渡航費用がたまってきたから…」
「うん。まぁ、協力できることはするからな。」
「ありがと、いつも。」
「大丈夫だよ…別にさ、稼ぎたいだけでやってるわけじゃねーから」