• テキストサイズ

それはきっと、幻じゃない。【気象系BL小説】

第1章 まぼろし





「初めまして。」


初っぱなから媚びるような笑顔を俺に浴びさせるそいつは


正直気に食わない。




…だってなんか、俺に似てるし。




俺がやってることと似てるし。



…媚び方が、ね。




でも…騙さなきゃいけないわけだし…



こいつに夢中だって。


だから、一回騙されたフリ、してみるよ。






「こっち、おいで?」



俺の隣に座らせた途端、俺にしなだれかかってくる。



「二宮さぁん…なんて呼べばい?」


「ニノでいいよ?」



俺の太ももに這って来たそいつの手をゆっくりと握ると


指を絡ませてきた。




「ニノ…」


俺の目の前に座っていた俳優の彼は、


そんな俺を見て、小さく笑った。



「ニノは釣れないよ?そんな簡単には」


「わかってるよー」


俺の隣で、そいつはまた笑った。




「じゃあニノ、いろいろそいつと相談して決めといて?」


「了解。ありがと」



「じゃ、お金は明日ね」




彼はニヤッと笑ってから、個室を出て行った。





「ニノさぁ…なんか、やりたいことあるんでしょ?」



初めからタメ口でしゃべりかけてきたそいつは






俺の考えを、どこか見破ろうとしてる策士の顔をしていた。







「さぁ…?」






笑って返すと、そいつも笑った。





「協力…するよ?」






/ 67ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp