第1章 まぼろし
雑誌の取材があった翌日、俺はある人にコンタクトを取った。
「お〜ニノ!久しぶり!」
「よお。久々だね」
昔共演したことのある俳優さん。潤くんのお仲間。
「何々?どうしたの急に。」
「うん、ちょっとね。」
この人に、大事な話があるから、
何処かプライバシーが守れるところで会いたいと連絡したら。
「ごめんね、こんなところで」
「ううん、ありがと。俺こんなとこ来ないからさぁ」
とある有名な政治家も御用達だという、
六本木のバー。
会員制をとってるらしいから、ちゃっかり入会させられてしまった。
…入会金の桁数、オカシイだろ…
まあいい。
プライバシーというが、六本木の外苑東通りから一本入った、
閑静な住宅街の中の雑居ビルの一室にある。
…そっか、やっぱ潤くんのお仲間はこんなとこに来るのね。
「で?話って?」
「そう急かすなよ」
この人も役者。笑顔を貼り付けてるのが怖い。
「潤には言わない方がいいんだろ?」
「うん。絶っ対秘密厳守ね。」
「わかったわかった。」
「コレ、紹介してほしいんだけど」
相葉さんがやっていたように、小指をちょっと立てる。
「ああ。オトコ?」
「おう。」
「何?最近おたくのグループの人たちどうしちゃったの?」
「あ、翔さんのこと?」
「あ、知ってんの?」
「うん。まぁ。」
「櫻井くんも潤も、同じコ相手にしてるからね」
やっぱり。