第1章 まぼろし
「い、いたっ…」
「お前が激しくしろっつったんだろ」
「あっ、切れるからっ!」
「うるせぇよ」
奴のナカは狭い。何回ヤられても、締め付けが変わらない。
だからずっと、重宝されてんだ。
なんでこんな仕事をしてるのか、と問うたことがある。
俺には到底理解できないから。
そしたら奴は、寂しくないからだと言った。
金に困ってるわけでも、男しかダメなわけでもない。
ただ、女を抱いているのだけでは、満たされないんだそうだ。
「オラ鳴けよ」
「ああっ、っやぁっ」
うつ伏せている奴の細い腰をつかみ、
背後から、一度抜いた俺を奥深くまで突き刺す。
「ああああ‼︎じゅ、じゅんっ、イイッ…」
「もっと鳴けよっ!」
こんなこと、かずにはできない。
あの、かずを抱いたとき…
こんなに激しいことはできなかった。
「やぁっっ」
ベットに顔をつけていた奴の身体を起こし、
膝立ちになった俺の前で抱く。
「ふ、深いっっ!」
「こういうのがいいんだろ?」
一度、耳元で優しく囁けば
「…もっと…」
娼婦の瞳で、振り返った奴は俺を誘惑する。
「ふっ」
小さく嗤うと、きゅうっと締め付けた。
「望み通りにしてやるよ」
俺はこいつに気があるんじゃない。
かずの代わりにしてるだけ…