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それはきっと、幻じゃない。【気象系BL小説】

第1章 まぼろし






最近、ニノの様子がおかしい。





片時もゲームを離さないのは…変わってないんだけど。



いつもよりも、何かを考えている時間が長い気がする。




それはきっと、ニノ自身も気づいていないんじゃないか…








唇に指を当てて、何かをじっと考え込んでる。





…ほら、今も。


なんか、翔さんに似てきたかな。


あの、考える仕草。





今日は5人で雑誌の撮影。


スタジオに朝早くから缶詰になっていて、


いろんな雑誌の取材を代わる代わる受けてる。




ニノは今、映画で難しい役をやってるから…かな。



だから、あんなに何かを考え込んでるのだろうか。
















「で、何?」


高飛車な態度。


年下のくせに。若干腹たつ。



「だからもう、翔さんに連絡するのやめろっつってんの」


だけど、そんなところもちょっと好きだったりする。



「なんでだよ。俺は翔の方がいいの」


だって


「馬鹿、やめろっつってんだよ。お前は本命じゃねぇんだから」


それは、君に似ているから。



「でも、潤よりも翔の方が激しいんだもん」




そう、かず。君に。





「はぁ?激しくすりゃあいいわけ?」



「うん。」




目の前のヤツと、君の深い瞳の色が重なる。





「いいよ。じゃあ、激しく抱いてやるよ。」







今日も俺は、






夢想の中で、君を抱く。








「来いよ」








それがたとえ、




「んんっ…」




まぼろしだとわかっていたとしても。









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