第1章 まぼろし
かずの口が、じゅるっと俺を吸い込む。
「あぁっ…」
潤んだ瞳で俺を見つめる。
「やめ…はな、して…」
「いいよ?おいひいって」
「そのまま喋っ…ぁっ…」
背筋をゾクゾクとしたものが走る。
「だ、だめだっ…あ、」
勢いよく吸われると、もうひとたまりもない。
「あ、出ちゃっ…や、」
「いいよ?出ひて?」
かずの舌の俺を追い立てる速度が一気に上がる。
同時に小さな手が、俺の根元を扱く。
「や、やっ…」
逃せなくなった快感から、かずの髪の毛をぎゅっと掴む。
「んあ、ああっっ!」
最後にかずが、しっとりとした瞳で俺を見て
じゅるるって吸うから。
かずの口の中に、精を放ってしまった。
「潤くん元気ね?」
にっこりと笑ったかずが、俺を艶やかに見つめる。
「ニノ、うますぎ…ってあれ?」
「ふふ。飲んだよ?」
「え?嘘でしょ?え?出してよ?」
「ざーんねんもう飲みましたぁ」
嘘だろ…
顔がどんどん熱を持って、熱くなるのがわかる。
「潤くん…かわいい…」
つぶやいたかずが、俺の足元からずりずりと這い上がってきた。
そして、俺の上にこてっと乗った。
「ね、潤くん。」
”シよ?”
かずの薄い唇が、そう動いた気がした。
まるで、まぼろしを見ているかのようだった。