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それはきっと、幻じゃない。【気象系BL小説】

第1章 まぼろし








まだ眠ってない。


そんな気がした。


さっき酒を飲みながら夢想していたことが


脳裏を掠める。



…隣に、ニノが居る…




ツアー中で、部屋が一緒で、しかもダブルベット…


そんな、お膳立てされたような状況。


もう何年も、ずっと心の底に仕舞い込んでいたニノへの、想い…



込み上げてくる想い。


でも、そんなことしちゃいけないんだっていう理性。






だってきっと、ニノは応えてくれない。


ニノは、普通に普通だ。ノーマルだ。


だから…だから…





一生叶わない事が分かっているのなら。





今日一晩だけでもいい。




今夜だけでも、夢を見させてくれない…?







こっちに向けているその背中に




そっと抱き着く。



「…ちょっ、潤くん…?」



「起こしちゃった…?ごめんね…?」


静かに言うと、驚いているニノの肩が硬くなる。


「どしたの…?」


「ダメ…?」



深く抱きつきながら、目の前の首筋に吐息を漏らす。


「…酔ってんの…?」



そういうことにしておこう。



そしたら…




そしたら、かずは楽だろうから…



「酔ってないよ…?」



少し舌ったらずな口調で、もう一回抱きつきながら言う。




「嘘つけ。ホラ、寝よ…?」


「…やだ…」



ふーって、深呼吸しているのが分かる。





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