第1章 まぼろし
「ごめん…ごめん…」
うわ言のようにそう繰り返す貴方は
力強く俺を抱き締めているのに、何処か弱そうで
俺をあやしているように見えて、
実は自分を落ち着かせようと必死で
知ってるよ…?
貴方が1番、不安だもんね。
貴方が1番、どうして良いかわからないんだもんね。
知ってる。
貴方の事は総て知ってる…
だから、それをぜんぶ俺に頂戴…?
貴方が犯してしまった罪も、貴方の持つ闇も
全部全部、俺にちょうだい。
俺が慰めてあげる…
始めに素直に俺のモノにならなかった罰だよ…?
ずっと、俺への罪悪感と共に生きて行ってもらうよ。
そしたら貴方は
絶対に俺から離れたりなんて出来ないから
それが俺のモノになるっていう事だよ…?
貴方は、俺が仕掛けた罠に嵌ったんだよ
俺が仕掛けた、オトコっていう罠に