第1章 12ヶ月の物語
付き合い始めて2ヶ月
今日はあんの誕生日や……
でも今日あんには
デートしようとか…
なんなら会おうとさえ言うてない(笑)
この日が来るまで
たくさんたくさん
そりゃもう禿げるんちゃうか?って
ぐらいにたくさん悩んだ…
何をしてやろう……?
どう喜ばせよう……?
そんなことを考えてる時間さえ
あんが側におるような気がして
幸せやったりした(笑)
結局誕生日当日俺は
あんの仕事が終わる時間に
あんの仕事場まで向かえに行って
事前に予約しといたレストランで
ちょいお高めの飯を食って
悩みに悩んだ挙げ句プレゼントに
俺の家の合鍵を渡した。
"お前にやったら…
家の中に居すわられても
許せそうやから(笑)"
そう言って渡した鍵を
あんは大事そうに手のひらで包み込んで
"すばるがもう勘弁してって言うぐらい
居座ってやる(笑)"
なんて笑った……
でもいまだに
俺の家の鍵を包み込む
あんの左手には
オレンジ色の光が鮮やかに灯っていて
そんなあんの左手から
俺はそっと目をそらした……