第2章 隠し事
「やめてください…」
「いいじゃないか。それとも…何かやましい事でもあるのかな?」
ついに植原さんの手は私の右手を掴んだ。
一気に右手の力が抜けてサーっとした。
「昔からっ…気持ち悪いって!!言われてきたんですっ!!」
「大丈夫。子供は嘘をつく生き物だ。
そして、私は大人だ」
テーピングを外して、何重にも巻いている包帯がゆっくりとほどけていく。
私は…このまま傷がないことがバレて喰種とバレて…
殺されるの?
…あの日のお父さんみたいに…
なるの…?
「やめてってばっ!!」
ほどけた包帯が雨で湿ったコンクリートに浸る。
振り払った右手は残り一重だった。
植原さんは、眉をハの字にして微笑んだ。
「ごめんね。まさかそんなに嫌だったとは…。悪気はないんだ。許してくれたまえ」
そう言って彼は建物の中に消えた。
「お父さん…」