第3章 彼らの心
グサッ
「…植原さん、コレ…どうしましょう。
今からクインケの取引にいくのに…喰種の血、つけちゃいました」
「ハハッ。早瀬君は真顔でおちゃめな事言うね。こんな事が
あるとは思っていた。着替えだ。着替えてこい」
バサッ
私は、早瀬麗來。24歳。特等捜査官。
「…ありがとうございます」
ガチャ
「…臭い」
トイレの中で喰種の血のついたスーツを脱ぎ捨てる。
もちろん、そのスーツはもう捨てる。トイレの横にあるゴミ箱にでも入れておこうか。
「植原さん。お待たせしました。
…これスカートでしたよ。ちゃんと確認しましたか?」
私は、今まで生きていて学生時代のあの制服でしかスカートを履いたことがない。
なぜなら、スースーするし、何より、動きづらい。
しかもこの仕事をしていて…スカートというのは…。
「お前は女だぞ。スカートくらいはけねぇーとな」
植原さんはそう笑ってポケットに手を突っ込んだ。
「男になりたかったものです」
「虚しい事言うな。女の子らしくないぞ」
「男になりたかったといっている人間に向かって女の子らしくないと言うその意味はなんですか?3文以上で答えてください」
「えぇ…、またそれなの」
「10…9…8…」
「うわぁぁ!!わかったよ」
私は、いつもこの会話が繰り返されるだけで良かった。
でも…彼のせいで…
捜査官人生計画は全て、壊れたのです。