第2章 隠し事
「植原…さん…。お話は母から何度か聞いております…」
彼はふと微笑むと同時に私の包帯で包まれた右手を見た。
「そうかい…。それより、君…その右手は?」
ドクンッ…
「あっ…えと…コレは…」
この包帯にはある秘密があった。
私の嚇子は少し変わっており、左半身は羽嚇。右半身は、なんでもない…名前のない、右手の掌から放射状に出てくる嚇子だった。
ただ、その右手の嚇子は自分の意思とは無関係にでてくるときがあった。
だからこの包帯は、その可能性を0に近くするためには何よりも大切だった。
「これは…小さい頃に大きな怪我をしてしまって…包帯がないとダメなんです…」
「大きな怪我…。どんなのだったの?大きな怪我とはいえもう、包帯はいらないんじゃない?」
彼はきっと…私が喰種であると疑っている。
そして、母は人間と知っているということは…
隻眼と気づいてないとは…言えない。
「それは…大きな怪我で…たくさん縫っているのでコンプレックスで…隠してるんです」
「コンプレックスかぁ…。見せてご覧?」
…は?何言ってんの、コイツ…。
「え?いや…コンプレックスなんです…!!みせたくありません!!」
「いいじゃないか。縫い目だって魅力的だ」
どんどん迫る植原さんの目は
何よりも曇っていて…怖かった。