第2章 隠し事
お母さんのお葬式には喰種捜査官ばかりだった。
さすがに私も気が抜けず哀しみというよりは、緊張だった。
やっと終えた葬儀。
私は、捜査官1人1人に気が気ではないがなんとか挨拶を終えると、建物から出た。
「はぁ…」
ふと溜息が出てしまう。
すっかり薄暗くなった空を眺めてゆっくりと流れる飛行機を目で追う。
「君が、早瀬君の娘さんか」
挨拶した覚えのない声に飛行機を追っていた目が男を見つめた。
いかにも捜査官って感じで少し、鳥肌が立った。
でも、想像してたよりも優しい笑を浮かべた。
「はい…。早瀬陽暮です。挨拶が遅れてしまって…」
「あぁ、いいんだよ。今きたとこだから。…やっぱり間に合わなかったか…」
男は、残念そうに雨で湿ったコンクリートを見つめた。
「あの…母とは、どういう関係ですか…」
「言ってなかったね。僕は、君の母、
早瀬麗來特等のペアであり、上司だ」
収まっていた鳥肌が、一気に再び返ってくるのが分かる。
それを超えて、体全身が心臓になったみたいに震えて、足の力が抜けた。
母は、ただの捜査官ではなかった。捜査官の中でも唯一の女性。それに構わず、特等捜査官まで上りつめ、その中でも優秀だった。
その母が尊敬していたのが、上司の…
「植原尚登-Hisato Uehara-。今回は、災難だったな」