第2章 隠し事
「ねぇ、ひーちゃん…昨日、どうしたの?」
いつもの学校の帰り道。
一度家に戻ってその後、アジトに行くつもりだったが母の葬式となった。
今日も友達の岸谷悠香紗-Yukasa Kishitani-と一緒に下校していた。もちろん、人間だ。
「あぁ…悠香紗には言ってなかったね…。
実はね、昨日…お母さんが死んじゃったの…」
いつもの人間を演じると、悠香紗は歩いていた足をピタリと止まらせて目をうるわせていた。
「ごめん…ッひーちゃん・・・」
「…どうして悠香紗が謝るの?」
「だって…うっ…ひーちゃ…お父さんもいなくって…うっうぅ…なのにぃ…お母さんも…ッ。なのに私…気づいてあげられなくて…」
私は、自分の事のように泣いてくれる悠香紗が愛おしく感じた。
私は、俯く悠香紗の顔を覗いた。
涙が溢れないように…覗いたけれど溢れて出てきてしまった。
「いいの…ッ。悠香紗…ありがと…っ」
「ひーちゃん…泣いて…」
私はその瞬間、すぐに顔をあげて家の方向に背けた。
「悠香紗っ!今日は、お母さんの仕事場の人がお葬式をしてくれるの。早く、帰るね…っ」
「うん…。そっか。ひーちゃんのおかあさん、
喰種捜査官だったもんね。特等の」
「…うん」