第2章 隠し事
「…つまり、今から、絢都と早瀬陽暮に勝負をしてもらう。 喰種相手に早瀬陽暮が〝戦う〟という事ができれば人間
ではあるが、出入りを認める」
つまり…絢都さんに勝たなきゃ…いや、そしたら赫子を出すことになる…。イコール、隻眼とばれて…いづれ捜査官にも。
ダメだ…。
人間っぽく、赫子を出さずにやるか…。
でも、勝負にならないくらい弱ければ…、殺される。
大丈夫…。私は、あのお父さんの娘。隻眼。
-出来る-
「lady…go!!」
「!!」
(ちょっと待ってよ!!いきなり、赫子?!なんで?!普通…もうちょっと後…ッ!!)
「でしょッッ!!」
私は、人間という域を少し、超えたか?と心配しつつも構わず絢都さんに飛びかかった。
「甘ぇ…」
ガシッ!!ギギギ…
「クッソ…!!」
(やっぱ赫子があるかないかで勝負は全然違うな…)
「ッざっけんなぁー!!」
絢都さんの赫子で押さえ込まれた体に力を精一杯入れる。
口を大きく開けて、一口…。
(まっず…)
すぐに吐き出す。
「あぁぁぁぁあッ?!き、…貴様…ッッ!!喰…?!」
絢都さんの顔の表情が一瞬で変わる。余裕振った冷静な顔が一気に怒りで襲われた顔になった。
その顔が私からするとすっごくゾクゾクして…
笑えた。
「フッ…。いい顔するねー…」
「あぁ…テメ…なめんな-!!」
絢都さんから逃れたはずなのにまた赫子が飛びかかる。
集中すれば…全てスローモーションだ。
飛びかかる赫子をまだかと言わんばかりに待ってその赫子を避ける。そしてすぐに傍にあった鉄の棒を掴むと
赫子を上から一発。そして、顔面ヒット。
「クッソ…ッッ!!あぁ…いぃ…ッ…クッ…」
絢都さんの苦しむ顔は、あの時の父に似てた。
一気に腕の力がゆるくなった。
「鼻血…大丈夫?」