第5章 捨てるもの
そしてこの子は14になった。
雪の降り止まない夜だった。
人間の肉を拒否した娘は飢餓に陥った。
「うぅ…くぁぁぁぁ…あっ…あぁぁ゛…
喰べるもんか…人間…喰べ…る…わけねぇ…!!」
娘は血を吐き、人間の肉を無理矢理口に押し込んでも
すぐに吐き私に投げつけた。
「余計な事すんじゃねぇぇ…くっそ…ババァ!!あぁぁぁ…」
私の聞いたことによると、娘は
死にたい。そう言っていた。
それは私が隻眼に生んだことからなのか、わからなかった。
「陽暮っっ!!早く喰べてッッ!!」
雪の中、冷え切った肉を何度も、何度も、何度も口に押し込んだ。
でもその何倍も娘は吐き出して嘆いた。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…!!」
自分自身に投げかけるように娘は何度も何度もお腹を殴り苦しみ、その度に笑を浮かべて『死ねる…』と囁いた。