第5章 捨てるもの
それからの私達は結婚をして生活はすべて変わった。
親にも隠さないといけない彼の正体。
何よりも危険だったのが仕事場だった。
しかし辞めるわけには行かなかった。
彼と…お腹の中の子供を守るため、ココで働いて
家族を守るため。
そして、人間と喰種の共同世界を作り上げるために。
お腹の中の子供は餓死する可能性がほぼだったので
あきらめる覚悟もあったが奇跡は私達の味方をしてくれて
無事この世に姿を現した。
しかし、やはり隻眼の女の子だった。
赤く光る右眼を見るたび
この子はいつ捜査官にバレるんだろうか…。
この子は親友に殺されないだろうか…。
この子は私が死んだらどうやって生きるのだろうか…。
この子は…隻眼に生んだ母親を恨んだりしないだろうか。
いつもそんな事を考えて生きてきた。
この子が4歳の時、彼は命を絶った。
私達捜査官に命を奪われた。
この子はその父がいなくなる瞬間を大きな瞳で見てしまった。
幸いにも結婚してから仕事場の人は誰も旦那の顔を知らなかったから助かったものの冷や汗が出た。