第5章 捨てるもの
『みんなを…助けて』
彼女の言った最後の言葉。
あれはクラスメイトの事だと思って、自分が殺したのに何言ってるんだ。とか思ってたけど…
違う。違ったの…。
みんなっていうのは…
喰種の事だ---―
「うっ・・・」
涙がとめどなく溢れてくる。
必死で上を向くのに止まらない。
『麗來はさ…周りの人に流されないよね』
『…そうかな。ただ自分が正しいと思うから』
『あはは。まぁね…。ねぇ、麗來…
大人になったらきっとみんなの考えに飲まれるんだよ』
『…ふーん』
小学生の時、彼女は泣きそうな笑顔で言っていた。
『でも麗來はみんな…この世の生き物全て…救って欲しいの』
あの時のみんなっていうのは…人間も喰種も…。
そんなのできるわけ…ない。
喰種を救うなんて…。私には…。
違う…。子供の頃の私は自信に満ち溢れていて、初めてする事も全部…できると思えた。できた。
私は大人になった。その気持ちも同時に大人になってくれているのならば…
救える。…喰種も、人間も!!
世界を…変えてみせる!!