第4章 利世の少年
私も後をつけて行った。
しかしその途中で冷静に考えた。
(この男を助けたところでなんになる?
バレるだけじゃない?
...そうか、助ける理由、ないや)
目の前で迫る利世と絶望的な男。
私は観賞用にした。
(もしも少しでも肉を分けてくれたら嬉しいけど...利世はむりね)
そうおもってふと上を見上げた。
目の前のビルの上には鉄骨があって、その鉄骨の隣に立っている者がいる。
「誰・・・?」
アオギリのメンバーではないことだけは分かった。
月の明かりが眩しく、手をかざした瞬間だった。
ソイツは鉄骨を支えたロープをブチッと切った。
落下する鉄骨。
誰もが口を開けて上を見上げた。
利世も上を向いて、ただ男はぼーっとしていた。
ガシャァァァン