第3章 彼らの心
「うあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私はすぐさま彼に飛びかかった。
いつもどおり、頭をクインケで吹っ飛ばすように見せかけて残り、数センチのところで心臓にクインケの先を向ける。
つっ立ったままだった彼の後ろから赫子が邪魔をした。
「え・・・?」
私のクインケをあっさり折り曲げたのだ。
「俺は…生きたい」
彼は俯き私に近づいた。
私はクインケをグッと握り締め計画を立てる。
(どうする…。クインケはもう、いつもどおりにはこなせない。折れ曲がった部分の損傷と曲がったクインケを操る難易度。…不可能?いや、そんなはずはない。何か殺せる手が…あるわ)
「喰種だって…命がある。人間と同じように生まれ、人間と同じように愛をもらい、愛を注ぎたい…。そして同じように、……生きたい」
ついに彼の足は私の目の前に。
私は折れ曲がったクインケで彼の足をブッ刺した。
グシャ…
「うぅっ…なんで…生きちゃ…だめなんだ…?」
「喰種は…人を喰い殺す。そのせいで…どれだけの人間が死んだか…!!」
彼がようやく顔を見せた。
「…!!」
彼の赤い瞳からはとまることなく涙がボロボロと頬を伝う。
彼は歯ぎしりをさせて睨んだ。
「人間は…喰種をむやみに殺す…!!そのせいで…どれだけの喰種が泣き叫び…生きる価値のないものだと思い知らされ…怪物だと喚かれ…ないことまで噂され…どれだけ傷を覆い…殺された・・・か、知ってんのか・・・?!」
その瞬間、ほんの少し、身体が動かなくなった。