第3章 彼らの心
「どうして・・・それを」
嘘がバレる瞬間というのは怖かった。
彼の悲しい目と怒る目・・・呆れた目…全てが微笑みの裏に隠されていた。
「わかるよ。だって、好きだったから。でも、それを知った瞬間、俺は…なおさら麗來とは恋をしちゃいけねーんだって思った…」
…どういうこと?わけわからな…、…!!
もしかして…!!
「まさか…!!」
私は力が抜けた足で一歩下がり、
クインケの入った鞄を握り締めた。
平紫君はふと笑って瞼を閉じ…
再び開きいつものように…微笑んだ、赤い瞳で。
「あぁ…喰種だ」
「嘘…だ…。嘘って言ってよ…嘘なんでしょう…?」
真っ赤に腫れた目で彼を睨んだ。
「嘘じゃない…。喰種だっていうことも…
麗來が好きな事も」
彼は見たことのないような目つきで私を睨んだ。
「もしも、麗來が…捜査官として俺を殺すというなら…
俺も…麗來を殺す…ッ…くっ……うっ…」
「そんな…ッ…」
「お前は、捜査官だ…ッ。でも俺だって…喰種だ!!
それに…俺だって…ッ…うっ…生きてぇよ…」
ズキ-…
〝生きてぇよ…〟
私だって…この世界を守らなきゃいけないの…。
捜査官なの…。
私は鞄を開けてクインケを取り出した。
「人間だって…生きたいのよ!!
だか…ら…私達が…あんたらを殺さなきゃ…ダメなのぉぉぉぉっっ!!」