第3章 彼らの心
そう言い残して平紫君は一人で路地を抜けた。
涙が一粒、一粒…こぼれてゆく。
「平紫…くん…ッ」
ボロボロになって私も路地をはしって抜けた。
慣れないヒールでふらつきながら…走った。
「平紫君っっ!!」
しゅんと小さくなった平紫君はピタリと止まってそっと振り返った。
ゆっくり、平紫君に近寄りながら私は話し始めた。
「どうして…だめなのか、教えてくれないと吹っ切れないわ」
「…だめ、なんだ」
「どうして?」
「…」
「どうしてなのって聞いてるでしょ?!答えなさいよ!!」
泣きながら怒りがこもる。
平紫君はそっと口を開けた。
「…じゃぁ、なんで嘘つくんだよ…
喰種捜査官の…早瀬特等…」