第3章 彼らの心
「あぁ!今度は麗來の家行きてぇなぁ…」
「それはダメだって言ってるでしょ。ボロいのよ」
「それでもいいよ…?」
「だ、だめ…よ」
家にはクインケがあるし、なんといっても嘘がバレてしまう。
「ちぇー…」
「どうしてそこにこだわるの?」
平紫君は、座り込んでしまった。
すると、ホンの少し顔を上げて私を見上げた。
うっ…
「だって…俺だって麗來のコト、いっぱい知りてぇーもん」
え…そそそれって…
ダメ…期待してしまうじゃない…
平紫君も…私と同じ…想いなのかなって…
やめてよ…変な勘違いして恥をかきたくないわ…
なのに、口が勝手に動いた。
「…私も知ってほしいわ…。平紫君のコト、好きだから」
沈黙が続いた。
そのとき、平紫君は立ち上がってニコッと笑った。
「俺も好きだよ…。初めてなんだ。こんなにマジんなったの」
「なら…私と付き-…」
心がホッとした瞬間、すぐさま平紫君は私の口を優しく抑えた。
「でも、無理だよ。付き合えない…。ごめんな」
どうして…?どうしてよ…。
私だって、こんなに本気で恋したのなんか初めてだっていうのに
どうしてダメなの?