第16章 黄瀬涼太 【SS】
「うわ、すげー降ってきた!ほら、結!見て!」
窓の外を白く染める雪は、この冬最大の寒波とやらがもたらしているらしい。
交通機関はマヒするし、体育館の底冷えはハンパないけど、別に悪いことばかりじゃない。
こんな日は、熱めの風呂に入って、ほこほこと湯気をたてながらリビングに戻ってくる彼女の姿が見られるのだから。
「わ、ほんと。また積もるかな……」
「明日は休みでよかったっスね」
「え、あ……うん」
ふたり並んで、うっすらと曇る窓ガラスの外を眺めながら、当たり前のように抱き寄せた細い肩がピクリと跳ねる。
週末は、思う存分彼女を可愛がってもいいというお墨付きをもらっているのだから、文句は言わせないっスよ。
「結。ナニ考えてんの?」
「べ、別に何も……」
真っ赤に染まるやわらかな頬が、純情なオトコゴコロをどれだけ刺激するのか、たっぷりとその身体に教えてあげなきゃね。
「風呂、一緒に入る?」
「っ……それは遠慮しておきマス」
パタパタとスリッパを鳴らし、逃げていく小さな背中を見送りながら、オレは手の中のカーテンを乱暴に閉めた。
【突発SS】寒波襲来 with 黄瀬涼太
2018.1.26