第8章 今吉翔一・牛島若利 【R18】
一方的に宣戦布告する声に、ゾクゾクとつま先から這い上がってくる痺れが、全身の細胞を彼の色に染めていく。
それは、“ときめく”なんて生易しい感覚ではなく、カラダとココロを縛る甘い鎖。
(馬鹿……こんなに好きなのに)
もういいオトナだから、そんなことは簡単に口には出来ないけれど、それはお互いさまだ。
眼鏡の奥でうっすらと開かれる瞳でも、この胸のうちは暴けないのだろうか。
わざと音を立てて繰り返されるキスに応えながら、コツリとぶつかる黒縁眼鏡のレンズがお互いの息でうっすらと曇る。
「ね、どうしていつも眼鏡、外さない……の?」
「ん~?」
穏やかに律動を開始する背中にそっと腕を回し、ずっと疑問に思っていたことを口にしてみる。
翻弄されてばかりの自分にも、これくらいの権利はあるはずだ。
「アホやな。そんなん……ハ、決まっとる、やろ?」
「ン、や……は、ぁっ」
完全に勢いを取り戻した固い切っ先で最奥をノックされ、反らせた喉の奥でひそかに喘ぐ。
首筋に深く顔をうずめ、まるで所有権を刻むように肌を吸い上げる唇からの答えを待ちながら、的確に弱点をついてくるたくましい腰に、結は自分の足を絡ませた。
熱帯夜 with 今吉翔一
2017.7.31
Here’s a little something for my friend!