学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
どんどん下半身から支配されてゆくように、快楽がじわりじわり…気が遠くなるような熱とともにせり上がり広がってゆく
「どうした」
「やっ、ロー…離して、ッ」
「なんだいきなり」
「も、…っちゃ…からぁ」
過去に何度も経験させられた、意識を飛ばしてしまうほどの強い快感
じわじわと意識が白んでいくのが、今は何故だか再び記憶を奪ってゆく錯覚を覚えさせた
「や、だぁ…っ」
しきりに首を振って、腰を浮かそうとするが既に力が入らない
それでもローに縋るようになりながら、どうにか快感から逃れようとする
「セナ、落ち着け」
「っひ…やぁ、ろぉっ…やだぁ」
「怖くない、俺が居るだろう」
空を彷徨う指を絡めとって、ギュッと力を込めた
パニック状態に虚ろだった瞳が、光を取り戻し始める
「ロー…」
「落ち着いたか?」
「ん…怖かった…」
スリ、と頰に擦り寄って、絡め取られた指にキュッと力を込めた
まだ震えが止まらないのは、恐怖よりも自身を埋め込まれたままだからか
「もう、分からなくなるのは嫌…」
記憶を失くした世界では、それらが全てなのに
全てを思い出したとき、愛する人だけ思い出せない辛さが何より怖かった
幼い頃から、いつでも心に残るのは貴方への愛なのに
家族さえ、友人さえ埋められない"ロー"という記憶
「私から、ローを…奪わないで」
それが例え、愛する人だとしても。奪うことは許さない
「泣くな」
空いていた手で、流れ落ちる涙を拭うと視線が合った
恍惚に溺れていた瞳に、仄暗い不安が入り混じった瞳
今さらだが、ローはひどく反省をした
「悪かった。守るといったのは俺なのにな」
いつも通り接することが、彼女のためだと思っていたが
それは先ほどまで、いつも通りではなかった彼女には恐怖を蘇らせるきっかけでしかない
止めどなく溢れる涙を、頬ごと手のひらで包み込み
真っ直ぐと視線を絡ませた
「セナ」
「ん、」
「俺は、お前だけのモノだ」
絡めていた指に力を込め、ゆっくりと吐かれた言葉にセナは目を見開いた
彼は今まで決して、ロー自身がセナに固執するような言葉を言わなかったから
彼の女と、彼のモノだと幾度となくいわれてきた
それだけで充分だと言い聞かせてきたのに
「なんで」
いつも全てを見抜いたように、彼は言葉を紡ぐのだろうか