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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)



「セナ?」

こめかみを押さえたまま、どこか遠くを見つめている瞳を、心配そうにローが覗き込む

「…ロー、?」

その黒曜の瞳に、ローの姿を映し出すと
瞬く間に星の輝きのようにキラキラと輝き始める
はらはらと星屑が零れ落ちるように、涙が溢れ出した

「ロー、わたし…」
「ああ。戻ったんだな」
「ッ…ごめ、私…今までっ」

記憶を失ったあの日から、起こったすべてを覚えている
だから記憶のパズルのピースが繋がったとき、消せない事実に震え上がった

自分は何度、彼の存在を記憶から消していたのだろう

「ごめ、なさ…私っ、ローのこと」
「泣くな。もう大丈夫だ」

泣き崩れそうな身体を、壊れそうなほど強く抱きしめて、ローは腕の中の存在を確かめる

「お兄ちゃ、のこと、もっ」

大切な幼い頃の記憶も、全て消えてしまうところだった

「ローの、こともっ」

再び出逢えた運命と奇跡も、何もかも…失ってしまったかもしれない恐怖

「忘れたくないのに、忘れちゃ…ダメなのにっ。私は…ッ」
「もう黙ってろ…思い出せたんだ。それだけで、充分だろ」

息が止まりそうなほど、強く強く抱き締められる
伝わるローの鼓動に、吐息に心から安心感を得られた
本当にすべての記憶が戻ってきたんだと、実感が出来た

「セナ」
「ろ、ぅん、ンッ」

名前を呼ばれると、自然と顔を上げ口を開く
しかし続く言葉はローの唇に飲み込まれた
全てを覆いつくすように、そして包み込むようなキスが降ってくる

甘く蕩けそうな口付け
確かにこの感覚を身体は覚えているが、今セナを蕩けさせるのはそれだけではない

今までの全ての記憶が、そして五感が総動員してローを感じさせる

「ん、ふぅ…ン」

いつもは逃げがちな舌が、逃げるどころか必死に逃すまいと絡めてくる
抱きしめる身体も、鼻から抜ける吐息も
溶けて混ざり合いそうなほどの熱を帯びてゆく

「は、ッ…やけに積極的だな」
「んぅ…ろぉ、もっと…」
「言われなくとも、くれてやるよ」

しなだれかかってくる身体を、颯爽と抱え上げると数歩でベッドにたどり着く
そっとベッドに降ろせば、ローはシャツを脱ぎ捨て覆い被さった

服に手をかけ、素早く脱がすとさすがに恥ずかしいのか大事な部分を隠すように腕を重ねる
煌々とした照明の下、ほんのり朱に染まった肌が晒されていた
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