学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
まるで共鳴し合うように、ローの魂が、心臓が打ち震えた
「セナ」
「?」
「何を勘違いしてるか知らねェが」
掴んでいた腕を離し、ドンと肩を部屋の扉に押し付ける
いきなりのことに、セナはされるがまま扉に縫い付けられた
再び両腕を押さえ込まれると次に降ってきたのは、噛み付くように激しい口付け
「ンッ」
抵抗しようと少し開いた唇から舌が侵入し、縦横無尽に口内を蹂躙されまさぐられる
何度も角度を変えては、息吐く間もなく熱い舌先が上顎をくすぐり、歯列をなぞり内頬を撫で這いまわった
「は、ぁっ」
「ン、ふぅ…いきな、り…」
「記憶があろうが無かろうが、今更なんだよ」
唇が解放され呼吸を整えていると、鼻がつきそうな至近距離でローがニィッと笑みを浮かべる
「へっ?」
「お前は、セナは…あの時から死ぬ時まで俺の女じゃないと許さねェ」
「あの、とき…?」
ローの言葉にツキンと、こめかみが痛む
それは段々と、熱を放つように痛みが増してゆく
「幼い頃だ」
―――
道端で泣いていた小さな少女は、片方だけ靴をなくしていた
転げた拍子に、どこかへ失くしてしまったらしい
放っておけなかった少年は、必死に辺りを探す
木の根本、池のほとり、植え込みの中まで
泥だらけになって、傷だらけになってようやく見つけた小さな靴
泣いている少女の足元に跪いて、靴を履かせてやると
さっきまで泣いていた少女は、花を咲かせたように満面の笑みを浮かべた
『ありがとう…!』
泣いていたことが嘘のように、キャッキャと可憐に笑う姿に少年は心を奪われる
そうして少女のことを沢山聞き、自分のことを沢山話した
『お兄ちゃんは、絵本に出てくる王子様ね』
『は?』
『あのね王子様はお姫様を助けてくれるのよ!』
いつだって絵本の中では颯爽と現れて、ピンチのお姫様を助けてくれる王子様
この時の少女には、自分を、両親を助けてくれるこの少年が王子様のようだったのだ
『なら…守ってやる』
そして同じく少年には少女が、何より大切で愛おしいお姫様となっていった
それなのに、別れは突然訪れる
一番最初の2人の記憶
*
「いッ…」
抜け落ちていた記憶がじわじわと元に戻るような感覚
欠けていたパズルのピースがぴたりと嵌まるように、ぽっかりと空いた記憶の穴が塞がってゆく