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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


色々と伝えたいことはあったが、思うように纏まってくれなかった
でも、何かを伝えねばと…思い付いたのは、腕の中の甘い香り

隠すように抱いていた箱を、ローに差し出すと
首を傾げながらも受け取ってくれた

「…開けていいのか」
「はいっ」
「…これは、」

手の中の小さな箱を開けてみれば、中に入っていたのは見覚えのある形のケーキ
忘れるはずもない、この夏ローのためにセナが考えたハートのチョコレートケーキだった

「何故これを」
「色々、聞いてきたの。みんなに。それで…少しでもローのこと思い出せたらって」
「…みんな?」

ピクリとローの眉尻が鋭く反応した

「スモーカー先生とか、ゾロとかサンジさんとか」

話を聞きに行った相手の名を挙げれば、ローはごく自然に渋面を作る
幼馴染の2人や、ナミ達だったなら…いやそれでも、多分少しは嫉妬していたけれど

1人で会いに行った人物のチョイスに、図らずも嫉妬の炎が燃え上がってしまう
そんなローの葛藤は今のセナでは汲み取れないのも分かってはいるが

『お、怒ってる…?』

流石に雰囲気というか、オーラとでもいうべきか
怒りに満ちていることだけはセナにも伝わっていた

「あの、なんか、ごめんなさい」
「…謝ることがあったのか」
「やっ、そういうわけでは」

きっと自分が原因なのは明確だから、少しでも怒りが収まればと謝罪を述べたけど
寧ろ今の状況では、火に油を注いだだけだったようだ

「本当に何もなかったんだろうな…?」
「何があるって言うの…!私の恋人は、ローでしょ?」

ズイッと詰め寄って至近距離で問い詰められると、つい息を飲む
この間まで、不安定に揺れていた瞳が強い意志をもって輝いていた

まるでいつものセナのように
そうして意志を持った瞳は、ローを捉える

「お前…」
「ねぇ、もしこのまま」
「?」
「私の記憶が戻らなくても…ローの側に居てもいい?」

例え記憶が戻らなくても、彼の側に居たいと思う
きっと何度忘れてしまっても、セナはローに恋をするのだ

そしてきっとローも

「…何言ってやがる」
「え…?」

何故だか分からないけれど、セナには二つ返事でローも応えてくれるという確信があった
けれど返ってきた答えは、呆れ気味に吐かれた耳を疑いたくなる言葉

「…どうして、」
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