学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「それは俺が一番肝を冷やしたよ…すべて偶然とはいえ、俺が頼んだ買い物がきっかけだからね」
だから本当に、その時セナの目の前に広がる光景は信じられないものだった
全身バラバラな肉片となり、三つの生首が見上げる先には……一見生徒会長を務めている際に見せる笑顔を浮かべたままただ見下ろすローの姿がある
しかし肉塊とされた生徒たちは、いつもなら威勢良く声を上げるところだが…口を開くこともできず冷や汗をかくばかりで、さらに逃げることも叶わず視線を彷徨わせた
衣服を乱したセナに着ていた上着を羽織らせ、生徒たちに貼り付けた笑顔を向ける
ビリビリと全身のパーツに痺れが走り、気を失いそうなくらいに感じるローの怒気
いっそのことなら怒号を上げてこの場から逃がして欲しいと生徒たちは一心に願う
しかしそんな生徒たちに都合のよい展開があるはずもなく、ローはスッと表情を消した。もちろん背後に庇ったセナには見えない
ふと足下に転がっていた誰かの心臓を拾い上げ、手のひらで弄ぶ
「コレは、どいつだ?」
ぐぐっと手のひらに力を込めると、生首の一つが悲鳴を上げる
セナに馬乗りになっていた、リーダー格の生徒だった
「テメェは、俺の何が気にくわねェ」
「ヒッ、き、気にくわないことなんて…!」
「ならセナを狙ってたのか?」
「ッそんなこと、は…ぐぁっ」
生徒が一瞬言葉を詰まらせ視線を逸らしたことに目ざとく反応し、ローは手のひら更に力を込める
ギチギチとと肉塊が悲鳴を上げるのに合わせて、持ち主の生徒も声を上げた
「やめてっ」
「ッセナ?!」
「私は大丈夫。もうこれだけやれば、十分でしょう?」
背後から抱きついてきたセナに、ローの手のひらの力が緩む
心臓を握られていた生徒は顔面蒼白で、ゼェゼェと荒い呼吸を繰り返した
「テメェの女に、手ェ出されて…何が大丈夫なんだ?」
「それ、は」
「お前はいつもそうだな。俺がどんな気持ちかなんて考えてな「そんなことないもん…」
「ローのこと、ちゃんと考えてるよ?これ以上放っておいたら、どうするつもり?本当に離れ離れになっちゃうかもしれないんだよ」
「そんなヘマはしねェ」
「嘘。私のせいで、私のために…ローが自分を見失うのが怖いの。だから、…だから今回のことも、何も言わなくてごめんなさい」