学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
背後からかけられた言葉には、振り向くことなく空いていた手を掲げて返事をしたゾロ
セナは道場の中に消えていく背中を見送って、学園を後にした
*
カランカラン
「悪ィまだ準備中で…ってセナちゃん?」
「こんにちは、サンジさん。お邪魔してもいいですか?」
「もちろんだよ!さぁどうぞ中へ」
趣のある扉を開けるとシェフの格好をしたサンジが顔を出した
ここは彼の実家であるレストラン【バラティエ】
エスコートされて中に入ると、仕込み中なのかいい匂いが室内に漂っている
「すみません、お忙しい時間に」
「いや、もうほとんど終わってるから大丈夫だよ」
サンジが2人がけの客席の椅子を引いて、座るよう促してくれたので、有り難く腰掛けることにした
腰をかけて暫くすると、目の前に湯気立つティーカップが置かれる
香り深いダージリンと甘いミルクの香りが漂う、ロイヤルミルクティーだった
「寒かっただろ?ゆっくり温まって」
「わぁ、ありがとうございます!いただきます」
寒空の中で冷えた身体を、ほっこりと包み込んでくれる丁度いい温度
全身に染み渡るように、その優しい熱はじわじわと広がってゆく
「いきなりどうしたんだい?」
サンジは向かいの椅子を引き腰掛けながら、いきなりやって来たことに首を傾げている
「ローのこと、聞きたくて」
「ローって…思い出したのか?」
「いや、これはスモーカー先生に教えてもらって…」
ここに来るまでの学園での経緯を簡単に説明すると、サンジは少し残念そうに特徴的な眉を下げた
「スモーカーはいいとして、ゾロの、次」
「ご、ごめんなさい」
「ああ、気にしないでくれ。こっちこそごめん。ちょっと待っててくれるかい?」
ブンブンとかぶりを振ったサンジが、今度は申し訳なさそうに微笑むと立ち上がり
奥のキッチンへと消えていった
すると入れ替わるように出て来たのはこの店のオーナー
「誰が来てるのかと思ったら…セナか」
「ゼフさん、こんにちは。すみません開店前にお邪魔して…」
「どうせあのボケナスがホイホイ招き入れたんだろう。構わん座ってろ」
慌てて立ち上がり頭を下げようとしたセナを片手で制し、ゼフは長いキッチンカウンターに肘をつく
するとキッチンの奥とセナを何度か交互に見遣る
「…悪かったな」
「え、っと…?」