学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
胸の奥がチクリと痛んだ気がした
しかしその痛みの理由を、今のセナは分からない
ちなみに何故今のセナにローの記憶が一切ないのかといえば、それは昨日の終業式の日のことだった
生徒会長であるローが不在の生徒会室に、久しぶりに訪れた人物が居た
「よォ!元気にしてるか?」
「「えっ…コラソン先生?!」」
「??」
顔を出したのはこの学園の副学園長であるドンキホーテ・ロシナンテという大男
コラソンという名は、理由あってこの学園の教師として潜伏していた期間に名乗っていた別称だ
一年3人組を見つけた途端、柔らかな雰囲気に似合わず、奇抜なピエロのメイクを施した顔を破顔させた
「ローは居ねェのか?」
「あ、会長なら予算会議ッスよ」
「もう任期は終わりだろ?」
「まぁ次が麦わらッスからねぇ…」
三年生であるローは既に生徒会長の座を退き、受験準備などに追われていたのだが
次期会長であるルフィは至って呑気で、仕事を引き継ごうにも話が前に進まない
なので仕方なく、未だローが生徒会室に顔を出しているのだった
「なるほどな…まぁローは推薦だし大丈夫だろ」
「ですよねー会長頭良いし」
コラソンはローの命の恩人であり、旧知の間柄である
そして元々コラソンはこの春まで生徒会の顧問をしていた
「それより…さっきからセナちゃんが、固まってる気がするんだけどな。気のせいか?」
いつもなら話に混ざってくるはずの、一年トリオ紅一点であるセナが先程からコラソンを凝視して固まっている
「あ、そうだ!今のセナなんですが」
「コラ、ソン…先生?」
「セナこの人はな」
コラソンのセリフに、ワタワタとし始めたシャチとペンギン
どちらに何処から説明しようかと考えあぐねている間に2人の間にいたセナの表情が変化する
「セナは今記憶が…「コラソン先生ッ!お久しぶりです!!」ってエエーーーッ?!」
「今思い出すんかい!」
「なんだなんだ?」
ガチャリ
ぱぁあっと花がほころぶように笑顔が咲いたかと思えば、セナがコラソンに飛び付いた
半年ぶりの逢瀬に、嬉しさの勢いが止まらなかったのだろう
「随分熱烈な歓迎だな?」
「だってあの時から一度も「「2人とも後ろ後ろ!!!」」
「え?」
「ん?」
「これはどういう状況だ?」