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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


「あ、」

ふと脳内で開かれた記憶の断片が、目の前の人物と重なり合う
不意に呼び慣れた名前を呼んだ

「あれ、キッド…?」
「…あ?なんだよ」
「何してるの、こんなところで」

先ほどまでの他人行儀な敬語ではなく、いつも通り“親友”に話し掛けるような口ぶり

「まさかお前、記憶が?」
「?え、っと…」
「は、どういうことだよ。オイ」

頭上から降ってきた声に顔を上げると、そこには見知らぬ顔
見知らぬはずなのに、そのことに違和感を感じてどうにか思い出そうとしてみる

しかし無理矢理繋がった記憶は脳への負担を否めないようで、頭痛を催すとそれはだんだんと酷くなっていく

「オイ、大丈夫か!顔真っ青だぞ!」

キッドが心配そうに伸ばした手、安心させるように手をかざして無理に笑おうとすると

「はは、大丈夫…だいじょ、ぶ…」
「「セナ!!」」

そのまま意識を失った。ローの腕の中だったため、倒れることはどうにか免れた状況だったが
顔色は血の気を無くし、痛みがあるのかその表情は苦痛に歪んでいる

「一体なに?何が起きたっての!?」

様子の変わった2人に気付いたナミが、慌てて駆け寄ってくると目の前の状況に目を見開く

「ちょっと2人とも説明して…なんでセナは意識がないの?」
「人の顔を見て間抜けヅラしたかと思えば青ざめて、急にヨロつきやがった」

キッドもイマイチ状況が理解できていないようで、ひとまず目の前であったことを話した
同じように見ていたはずのローは、一言も発することなくただ考え込むように腕の中の存在を見つめている

「…なんかあったのね」
「なにがだ」
「トラ男…アンタ自覚ないの?顔に思いっきり書いてあるわよ」

「セナの…記憶が、戻った気がした」
「えっ?」
「確かじゃねェが」

いつの間にか、ローたちの周囲を仲間が取り囲んでいた
みなセナが心配になって見に来たらしい
話しの続きを促すように、ナミが目くばせをする

「さっき、こいつはユースタス屋の名を呼んだ。…いつもみたいに」

呼び方も、話し方も普段通りの様子で何故キッドが此処に居るのかを問うていた
敬称もなく敬語もなく、いつものように親し気に呼んだのだ

そしてそのあと、不思議そうにローの顔を見て…顔色が悪くなると意識を失った

「無理に思い出そうとでもしたんだろう」

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