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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


キッドの威圧的すぎる態度に、ビクビクしながら涙目となってしまったセナの腰を抱き寄せたローが
呆れ果てたような溜息をわざとらしく吐く

「記憶を、無くしてるだァ?」
「そうなんです…すみません、あなたの事も分からなくて」
「見た目変わんねェじゃねェか」
「一応階段から落ちたらしいんですけど…」
「フーン」

キッドがどこか心配そうに表情を曇らせると、セナの髪に手を伸ばした
何かを確かめるように頰から首筋、鎖骨、肩と指でなぞるようにして触ってゆく

「痛いところはねェのか?」
「今のところは。…ふふ、くすぐったいですよ」

無骨で大きな手のひらで、繊細な壊れ物を扱うように触れられるとなんだか気恥ずかしくて擽ったくて思わず笑みが漏れた
すると突然、キッドの手が掴み上げられ引き剥がされる

「相変わらずだなァ…トラファルガー」
「骨までイかれたくなけりゃ、ひとまず失せろ」
「ローさん!どうしたんですか?!」
「ハハハッ!"ローさん"だと、テメェも忘れられてるクチじゃねェか。こうなりゃ、奪うってェのもアリだなァ」

掴み上げられた腕を振りほどき、少し距離を取るとキッドはニィッと楽しげな笑みを浮かべた

「ん?奪う?あれ、私たち親友じゃ…?」
「親友は一生親友かよ?別にその先の関係になっても、いいんじゃねェのか」
「それは…お互いの気持ち次第ですけど、ッきゃ!」

セナが急に変わったキッドの真剣な眼差しに、思わず考え込み絆されかけていると
腹に回されていた腕にいきなり強く引かれ、背後にいたローに密着する形となる

見上げれば、キッドと対峙するローの表情は不機嫌極まりない
しかしそれも一瞬のことで、すぐにいつものような余裕の笑みを浮かべた

「例え記憶がなくても、セナは俺のモノだ」
「ケッ!その余裕がムカつくんだよ、」

堂々と言い切ったローに、今度はキッドが苦虫を噛みつぶしたような表情をする
そんな2人の様子を眺めながらセナはほんのり熱くなった頬を押さえて首を傾げた

『なんで…?昨日、私…』


“私あなたみたいな人と付き合ったりしません!好きにも、なりませんから!”


あそこまで言われてもなお、セナは自分のモノだと言い切るロー
胸が熱く、そして切なく痛むのはどうしてだろう


どうして何も覚えていないのだろう

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