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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


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翌日、海楼学園1-C教室

「「「記憶がない〜?!!」」」

何かとこの教室に集まるいつものメンバーは、目の前で怯えて固まっているセナをマジマジと見つめた

「あの、えっと…」

セナは全然誰1人の顔も分からない。誰に何と言っていいのかも分からず若干涙目だ
すると、セナを囲む人だかりの後ろから聞き慣れた声がする

「テメェら、セナが怯えてんじゃねェか。離れろ」
「あ、ロー…さん」

最後の"さん"は消え入るような声だったが、ローの耳にしっかりと届いた。しかし今は責めても仕方ない
チラリとセナを一瞥すると、ローが来たことに少し安心したのか固まっていた表情が和らいでいる
そのことに、ローも少なからず安心した

「トラ男!セナどうしちまったんだよ?!記憶がねェって」
「落ち着け麦わら屋」
「ロー!テメェが側に居ながら、セナちゃん守れねェって…どういうことだ!見損なったぞ!」
「黒足屋に見損なわれようが知ったこっちゃねェ…」

2年のルフィとサンジに詰め寄られるのを、しれっと交わしていつものように空けられたセナの隣に座る

「階段から落ちたって、他に怪我はなかったの?」
「ああ、外傷は見受けられねェ」
「でも記憶だけ、すっぽり抜け落ちてしまってるんですね…」
「セナちゃん、辛いよね…」

ビビとカヤがセナの手を取り、ギュッと力を込めた
その行動にキョトンと、セナは首を傾げる

「ええっと、」
「あ、そっか忘れてるんだよね!私はカヤだよ」
「私はビビです」

手を握ったまま、ニッコリと笑う2人にセナも笑い返す

「私はセナといいます」
「それはここにいるみんなが知ってるわよ?」
「あっ、そうか…」
「相変わらず変なところ抜けてるわね」

ナミが呆れ気味にため息を吐いた
しかしセナが一層他人行儀になるのは仕方ない、何せ幼馴染の2人ですら忘れてしまっている状態

今これだけの見知らぬ顔に囲まれれば、多少の警戒心が前に立ってしまう
けれどその警戒心も、ローが来た瞬間に少しだけ和らいだ

『忘れてても、覚えてるってわけか』

身体に染み付いた感覚とでもいうのか、きっと彼の側では無条件に安心してしまうのだろう
例え忘れてしまっていても
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