学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「で、みんなで何してたんだ?」
つつかれたことにギャーギャー騒いで、やり返そうとしたシャチに技をかけながらペンギンがセナとラミに視線を移す
「あ…セナさんが帰ると仰られて」
「「はぁっ?帰るぅ?!」」
「だって…家にいる方が何か思い出すかもしれないし」
幼馴染という2人に詰め寄られて、思わずオドオドとして俯いてしまう
その姿にハッと現状を思い出すシャチとペンギン
今は、普段のセナではないのだ
「でも帰るったってなぁ…会長が許さねェと思うけど?」
「そーそー、さっきの様子じゃ記憶戻るまでみっちり側に居る「セナの好きにさせとけ」
「「えっ、会長?!」」
2階から降りてきたローが、不機嫌そうに話しに割り入ってきた
明らかに自分の言ったことが腑に落ちていない表情で、ローは声を上げた2人を見遣る
「なんか文句あるか」
「いやでも会長…セナは記憶が」
「それでさっき部屋に連れてったんスよね?」
「別に。帰りてェなら、帰らせてやれ。ただ、お前らもついて帰れよ」
それだけ言い残すと、ローは踵を返して家の奥に消えてしまった
そこでシャチが気付いたことがあり、ペンギンに小声で話し掛ける
「さっきの会長、セナのこと一度も見てなかったよな」
「…喧嘩したわけか。あの人セナにはだいぶ強引だからなァ」
出会った頃のように、今回も上手くいくとは限らなかったらしい
それでもセナは全くローを毛嫌いしているわけではないようだ
それを証拠に、部屋の奥へ消えた後ろ姿を何か言いたげなように見つめている
少なからず、気にはなっているのかもしれない。けれど
「セナさん、どうしますか?」
「…帰ります」
『ありゃ引き下がれなくなったんだな』
『強情なんだよなぁ、昔から』
当たり前だが記憶がなくなっても、性格は変わらないもので
やれやれ仕方ないと、シャチとペンギンは肩を竦めた
「んじゃ帰りますか」
「私1人で帰れるから、2人はまだ」
「いや道覚えてんのかよ?まぁいいから、3人で帰ろうぜ」
「そーそー、じゃなきゃ俺たちが怒られるんだって」
「お、怒られる…?」
渋るセナを両側から挟み込んで手を掴み、無理やり玄関へ向かう
見送ってくれたラミに挨拶をして3人はローの家を出た
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