学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「お前は俺の女だ」
「ッ、近…いっ、です」
思いの外近くなった声と、言われたセリフに顔を上げられなくなる
次第に頭がズキンズキンと痛みだして、立っていられなくなってしまう
「ッ」
「?!おい、っ」
フラリとよろついたかと思えば、膝から崩れ落ちそうになるのを慌ててローが抱きとめた
「ッ悪かった…何処か痛むのか」
「だいじょ、ぶ…です」
セナは息も絶え絶えなのに、痛みを堪えて安心させるように微笑みかける
「無理に笑うな。どこが痛む」
「ん、ちょっと…頭、が」
その痛みが頭を打った衝撃からくるものか、記憶を無理に呼び起こそうとした為か
原因は分からないが、ひとまず無理をさせたことにローは酷く後悔をした
「掴まってろ」
「え…っ?!」
肩に腕を回させると、支えていた背中と膝裏に腕を回して抱き上げる
突然の浮遊感に、思わずその首に抱きついた
「ちょっ、降ろし…」
「暴れんな、本当に落とすぞ」
いきなりのことにジタバタと暴れだしたが、ローの一言に流石に落とされるのは勘弁だと大人しくなる
本当は落としてしまう、と言いたかったのだが…ひとまずは大人しくなったので訂正はあえてしないでおく
先ほどのベッドに寝かせられるのかと思えば、何故か部屋を出て行ってしまった
「ロー、何処に連れて行く気だ?」
「俺の部屋に寝かせてくる。どうせ暫く帰せねェんだ」
いきなり部屋を出て行こうとする息子に父親が慌てて声をかけるが、しれっと答えると歩みは止まることなくその背中はどんどん遠ざかる
「せめてラミの部屋に…」
「お父様。セナさんの事になると、お兄様は何言っても聞かないわ」
父親の助言はローの耳には届く事なく、代わりに聞き入れたラミが父親を慰めるように肩を叩いた
「どんな状況でも、セナちゃんを側に置いておかないと気が済まないのね。変なところ頑固なの、あなたにソックリ」
クスクスとどこか呆れたように笑う母親に、父親が更に肩を落としている。そんな親の心子知らず…
ガチャ
セナを抱えたまま器用に部屋のドアを開けると、そこには壁一面の本棚にびっしり並べられた本の数々
「凄い本の数ですね」
「そうでもないだろ」
「そんな事ないですよ!ローさんは本が好きなんですか?」
腕の中から瞳をキラキラと輝かせて、部屋を見渡しながら問い掛ける