学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
きっと幼馴染という2人にも、変わらぬ無表情をしていたに違いないのに
どうしてそんなことを思ったのだろう
「俺の顔に何かついてるか?」
「!あ、ご、ごめんなさい」
「何故謝る」
「え、っと、その」
急に話し掛けられて我に返る。無意識に見つめてしまっていたらしい
咄嗟のことに、謝るクセが出てしまった。ローの表情が一瞬だけ不機嫌そうに険しくなる
そうすると元々目つきの悪い彼に睨まれている気がして、更にシドロモドロになってしまった
「…悪ィ」
「え?」
うまく返答できずにいたら、突然謝られた
頭に乗せられていた手が、そっと頰に添えられる
「俺が怖いんだろう」
「ッ、あの…」
「俺も、焦ってるのかもしれねェな」
フッと、自嘲気味に笑うローに胸の奥がツキンと痛む
何か言わなければと、口を開いた
「あの、っローさん」
「…ローでい「こういう事は、あちらの彼女さんにした方がいいのでは?」……は?」
こういう事、というのは頰に添えた手のことだろうか
あちらの彼女、と向けられた視線の先を目で追うと
居たのはローの妹のラミの姿
ローは思わずこめかみを押さえた
セナは出会った頃にも、ラミを彼女だと間違えたことがある
その時は既に2人は付き合っていて、誤解もすぐに解けたのだが
『今の俺は』
セナにとって、どのような存在といえばいいのか
きっと、今の彼女に自分は知らない男でしかない
その事実を突きつけられた気がして、頰に添えていた手に力が込もった
「ロー、さん?」
「…ラミは妹だ」
「そうだったんですか?!すみませ「それに俺と付き合ってるのは、お前だろ。セナ」………へっ?」
突然話を振られたことにも、その内容にも驚いたのか
セナは大きな瞳をこれでもかと見開いてローを見上げた。その口はポカンと半開きにまでなっている
「会長!アンタ何言ってんすか!」
「いきなり過ぎますって!さっき俺らにセナのペースとか言ったクセに!」
シャチとペンギンが、ギャーギャーと騒ぎ立ててローに詰め寄った
騒がしい声に、ハッと我に返ったセナが一歩後退る
「何も分からないからって、からかわないでください」
「からかって何の得がある」
「それは…分からないけど」
俯いてしまったセナが引いた距離を、詰めるようにローが一歩近づく