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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第2章 聖夜のシンデレラ(*)


ましてや自分を忘れたセナが、再び自分を好きになるという確証なんかない

「「会長…」」
「お兄様…」

父親の問いかけに、口を噤んだローを心配そうに見つめる3人
ローがようやく口を開いた

「あいつは、セナは俺のモンだ。記憶がないとしても、手離す気はねェ」

例えセナがこの手を離そうとしても、離してやるものか
今までのことを一生思い出さないとしても、新たな思い出を刻むことはいくらでもできる

「それを聞いて安心した。どんな結果であれ父さんたちも、最善を尽くそう」
「ありがとう、父さん。もちろん俺も手伝う」
「「俺たちも!」」
「私もお手伝いするわ!」

その場に居る全員が、セナの快復を願い拳を握った



*****
***
**


「幼馴染?」
「そ!俺がシャチで」
「俺がペンギン」

記憶とは意外にも、身近な存在を思い出すことで芋づる式のように次々蘇ることもある
セナにとって、最も身近な存在は幼馴染であるシャチとペンギン

彼らを思い出してくれることが、何より記憶を呼び起こすカギともいえる
しかし目の前のセナは、ただ眉間に縦皺を刻むと首を傾げた

「シャチとペンギン…」
「そう!家も両隣!」
「同じ高校通ってるしな!」
「高校…」

高校、という単語に一瞬ピクリと反応を見せる。が、すぐに表情は影を落とし俯いてしまう

「ごめんなさい…やっぱり分からない」
「や、謝んなよ!」
「そーそー、そのうち思い出すって!な!」

申し訳なさそうに落ち込んでしまったセナは、唇を堅く引き結んだ
その表情は悔しげに歪んでいるようにも、悲しげに泣いているようにも見える

「お前ら、無駄に焦らせてんじゃねェ」

呆れた声と共に、俯き気味の頭をポンと大きな手のひらに優しく撫でられた
セナは目線だけをチラリと上げて、割って入った目の前の人物を見上げる

「あはは、すんません」
「俺たちまで焦ってちゃ話になりませんよね」
「なるようにしかならねェんだ。こいつのペースに合わせてやれ」

首をひねってペンギンとシャチに向いていた顔が、いきなり此方を向いてバッチリと目が合う
少し前にローと名乗った彼は、無表情で何を考えているのか分からない

『分からないはずなのに』

何故か自分を見る彼の表情を"優しい"と感じる
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