学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
「ん?ローか?一体どうしたんだ」
騒ぎを聞きつけて、ローの父親がリビングから出てくる
料理の手を止め、母親も出てきた
「セナが、階段から落ちたんだ。15分くらい前に、外傷はないけど、目を覚まさねェ」
「分かった。母さん、手伝ってくれるかい」
「もちろん。寝室で診れるように準備してきたわ」
既に白衣を纏ったローの母親に導かれて、寝室に入るとゆっくり身体を降ろす
規則的な呼吸を繰り返しているからか、ただ眠っているだけのようにも見える
「診察をするから、みんな少し出ていてもらえるかな」
「俺も一緒に」
「ロー、心配なのは分かる。しかしここは父さんに任せてくれ」
安心させるように肩を叩いて、にこやかに優しく微笑む父親を前に我儘は言えなかった
自分はまだ医者ではない、どれだけ知識があろうと…今はセナを救えないのだ
寝室の前でロー・シャチ・ペンギン、そしてラミが神妙な面持ちで扉が開くのを待っていた
中では簡易的だが検査をしているのだろう、時折両親の話す声だけがボソボソと聞こえてくる
30分ほど経って、ようやく寝室の扉が開かれた
「トラファルガー先生!セナは、大丈夫ですか!」
「もう目ぇ覚ましましたか?」
「セナさん、大丈夫なのよね?!お父様!」
ペンギンとシャチ、ラミまでが父親に迫るように言葉を投げかける
ローはただ、父親の言葉を待った
「3人とも落ち着きなさい。大丈夫、脳波なども特に異常はなかった、じきに目覚めるよ」
「あなた!」
「噂をすれば、目覚めたみたいだ」
その言葉に、ローが慌てて寝室に入りベッドサイドに駆け寄った
「ん…」
「セナ」
小さく声を上げて、睫毛がふるりと揺れ静かに持ち上がる
黒曜の瞳が開くと、心配そうな顔をしたローを映し出した
「……」
「どこか痛むのか」
「?痛くはない、です」
声を掛けられたことに、不思議そうな顔をして首を傾げている
きょろきょろと辺りを見回して、状況が飲み込めていないのだろう
「階段から落ちて、気を失っていたのよ。ここは私たちの寝室」
ローの母親が隣から優しく話しかけて、状況を説明する
「あの」
「ん?どうしたの?」
扉の方から覗く人だかりを一瞬視界に入れると、セナは言いにくそうに口を開いた
「みなさん、誰ですか?」