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学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)

第1章 10/31の文化祭(*)


「間抜け面してんな」

そんなことは言いつつも、目の前の存在を可愛いと思っている
むしろ可愛いでは表現しきれないこの感情をいつも持て余すのだ

「…セナ」
「…ふ、」

唇をなぞって、チュッと軽くバードキスを落とす
眠っているはずなのに、嬉しそうに口元が綻んだのでドキッとしてしまった

「ろ、…」

名を呼ばれたのだろうか、消え入りそうな声に必死で耳を傾けてしまう
彼女はどんな夢を見ているのだろう…幸せな夢を、見ているだろうか

「…ロー…」

今度ははっきりと名前を呼ばれた、夢の中でさえ当たり前に自分の存在があることに胸が熱くなる

「離れ、なぃ…で」
「は…」
「ろぉ…」

ほんの一瞬だけだが、眠っている表情が悲しみに満ちていた気がした
その声にも覇気がない、夢の中の自分は…彼女を悲しませているのか

『俺がセナを苦しめているのか…?』

出会ってから、今まで彼女について分かったことはたくさんある

まず人と距離が詰められるのをひどく怖がっていた
深入りするのが、面倒というわけでは無さそうだが
強いて言えば、深入りしてしまうのが辛い感じである

あと意外に負の思考が強くて、溜め込みやすい。更には考え込みやすい
たまにどうしてそんな答えが出てきたのかと驚くほど、彼女の想像力は予想の斜め上をいく
思ったことを口に出来ず、自己消化すらできないのにそのまま何事もないように我慢してしまう悪い癖だ

甘えるのも下手くそで、感情表現についても同じく…

「んん…っ」

寝ているからか素直に甘えるようにギュウギュウとしがみ付いてくる
至極優しく、その髪を撫でてやるとくすぐったそうに身をよじって更に密着してきた

『ああ、』

お互いに忙しくて、顔は合わせど触れ合いも減っていく中で不安だったのは自分よりセナだったのか

溢れてやまない愛情が、伝わればいいと強く抱き締めた
呼吸を合わせるように目を閉じる

『不安なんて感じさせないくらいに、目一杯愛してやる』

だから怖がらなくていい、この腕を離すことはない
例え離れようとも、離してやるものか


シャチとペンギンが休憩から戻ると、椅子に座るローの膝の上で、向かい合い抱きつくセナの姿

束の間の休息は、愛し合う2人を癒せただろうか
それは秋の木漏れ日だけが知る


文化祭まであと一ヶ月…ー
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