学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
侵入してくる舌に口内を弄られると頭がボーッとしてくるが、いかんせんセナは無理な体勢のため身体がプルプルと限界を訴えはじめた
「っも…無理ッ!」
「っぐ、テメェ…」
息苦しさと体勢のキツさに、思わずローの胸を腕で突っぱねると反動でバランスを崩してしまう
「きゃ…!」
「危ね、ェ!」
ローは目の前で傾く身体を咄嗟に腕を引き倒れるのを阻止した
腕を引かれた反動で、再びローの腕に収まることになる
「なにしてんだ…!」
「ご、ごめん」
「ったく、心配させんじゃねェ…」
今度は正面からギュッと密着するように抱き締められた
耳に聞こえるローの心音が、早鐘のようなリズムを刻んでいる
耳元では、深く安堵の息を吐いたのが分かった
「ごめんね…心配させて」
「俺から逃げようとするから、こういうことになるんだろうが」
「別に逃げようとしたワケじゃなくて…」
ただ振り向いたままの体勢がキツかっただけなのだが、どうやら違うところでローは怒っているようだ
心配したのも、どうやら倒れそうになったことだけが原因ではないみたいで
「逃げるわけないでしょ…もう」
信用されてないわけではないと知っているのだが、どうしてこうも自分のことになると彼はこんなにも不安になるのだろうか
それは出会った頃から変わらない…しかし深く愛され過ぎて、こっちが怖くなってしまうくらいなのだ
これだけ溺れさせておいて、いつかこんな自分に飽きて
本当は何処かへ行ってしまうのはローなのではないか…未だにどうして彼が選んだのが自分なのか疑問に思うことがある
本人には決して言わないけど
「逃げたりしないから、安心して?」
広い背中に腕を回して、堅くがっしりとした胸に擦り寄る
貴方が離れていかない限り、私からは逃げたりしない
トクントクンと、全身に伝わるような規則的な鼓動にそっと目を閉じる
すると、ここのところの目まぐるしい忙しさの疲れが現れたのかそのまま眠りに誘われてしまった
先ほどまで感じていた重みが、全てを委ねるように全身に寄り掛かってきたのでローは腕の中の顔をそっと覗き込む
「すぅ…」
長い睫毛が影を落とす目元は、寝不足なのか少し隈ができているようだ。そっと指先で消せないものかと撫でてみる
それでも規則的な寝息は乱れることなく、安心しきったように眠りこける姿に愛しさが込み上げてしまう