学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第2章 聖夜のシンデレラ(*)
なんだかんだ言って、シャチもペンギンもローが好きなのだ
どんな時も、彼らには絶対の信頼関係があるのをセナは知っている
「こいつらに愛されても嬉しくねェ」
「「会長ヒドイ!!」」
「そんなこと言わないの!ローだって2人のこと大好きでしょ?」
「はぁ?んなワケあるか」
顔を逸らしたかと思えば、帽子を目深に被って口を噤んでしまったロー
そんなあからさまな態度に、ペンギンもシャチもショックを隠し切れない
「会長…そんなに嫌がらなくても」
「さすがに俺たちも傷付きますって」
「勝手に傷付いてろ」
「ふふ、ローは照れてるのよ」
目深に被り直した理由が、少し赤くなった顔を隠すためだとセナは分かっていた
ローはバツが悪そうに、口を開く
「そういや此処に集まって何してたんだ」
「あ、話逸らした!…何って、勉強ですよ。もうすぐ試験じゃないですか」
明日からは試験一週間前に入るため、部活もなければ生徒会も休みになる
休みに入ってしまう前に、生徒会は追い込みの仕事が多くて勉強まで手が回らなかった
そこで少しでも早く対策をしておこうと、休日返上でこうしてセナの家に集まっていたのだ
「で、その勉強は進んでんのか」
「いやぁ、それがなかなか」
「苦手科目が意外と被ってたのよね…私たち」
3人とも、同じ教科書を開いて手が止まっている
ローは思わず溜息を吐いた
「それでどうやって勉強する気だったんだ」
「む、それ以外は…結構進んでたんだけど」
「苦手が克服できなけりゃ、意味ねェだろうが」
「ローは勉強ができるから…それに、試験もないでしょう?」
3年生は、既に進路を決めている生徒も多いためこの年末の試験は免除されている
さらにローは医学部への推薦までもらっているらしいと、親友のキッドが言っていた
「ユースタス屋のやつ…余計なことを」
「なんで隠そうとするの?」
「確かに推薦は貰ったが、別に確約したわけじゃねェんだ」
推薦といえど、センター試験も面談も受ける。小論文だって書かされるのだ
科目免除がいくつかあるだけで、なんら周囲の生徒と変わりない
それなら、きちんと結果が決まってから話す方がいいと判断した
「じゃあこんなところで油売ってていいの?」
「息抜きも必要だからな」
ローは切り分けられていたケーキを一口、口に含みながらしれっと言い切る