学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
「これにて、今年度の海楼学園文化祭を終幕する!各自解散」
一息で言い切った直後、夜空には花火が打ち上げられた
秋の夜空に咲く大輪の花の下、生徒たちは散り散りになる
「セナっ」
「ナミ!わぁっ!!」
いまだステージ上にいたセナを押し倒さんばかりに飛び掛かってきたのはナミ
その勢いと、豊満な胸元で窒息してしまいそうになり慌てて顔を上げた
「総合優勝取っちゃうとはねー、セナのお陰よ」
「みんなの力だよ、あとナミのアイデアとか采配じゃない?」
「ふふ、嬉しいこといってくれるじゃない!キスしちゃうわよ!」
「ちょっ、恥ずかしいから!!」
嬉しさのあまりか、本気で唇を寄せてきたナミからどうにか逃れようとするが抱き締められていて身動きが取れない
しかし頰に吐息がかかるくらいの距離まできたとき、ナミの動きが止まった
「冗談よ。何ムキになってるわけ?」
「?」
「ふざけるな。冗談だろうが、こいつに触れていいのは俺だけだ、手を離せ」
「トラ男ってば、ホンットセナのことになると余裕ないわね…そんなんじゃモテないわよ?」
「他にモテようが俺には関係ねェ」
ナミに抱き締められながら、背後から首元にローの腕が回っている
締まってはいないのだが、2人の間で背の低いセナは少しだけ窮屈だ
しかし頭上の2人はヒートアップしている
「そんなんじゃ、そのうちセナに愛想尽かされるのがオチね」
「ハッ、あり得ねェな…コイツもたいがい俺に惚れてる」
「バカね。自惚れてるとイタい目見るわよ」
当の本人を間に、なんという会話をしているのだろう
巻き込まれているだけのセナが何故か一番恥ずかしい思いをしている気がする
特にローの台詞は、今一度ナミの言葉を借りてそのまま返してやりたくなるくらいだ…決して本意ではなく、恥ずかしさからくる八つ当たりとして
恥ずかしさに項垂れることもできず、緩く拘束された首はそのままでローを見上げた
先ほど表彰のときの顔とはまるで違う
不満そうに潜められた眉間、不服そうに歪められた薄い唇
不健康そうな目の下のクマと決して良くはない目つきは元からだけど
セナはこうした彼の素顔しか見ることはない
「…なにが言いたい?」
「ん?別に何も…」
「視線が刺さってんだよ、言いたいことがあるなら言え」