学園は溺愛の箱庭(ONE PIECE長編学園パロ夢・番外編)
第1章 10/31の文化祭(*)
「バレてないとでも思ったのか」
「そんなに嬉しそうだった?」
恥ずかしさからか、少しだけ瞳を潤ませて視線を彷徨わせた
引き結ばれている唇は、何かを堪えているように震えている
「"生徒会長"をしてるローが珍しかったもので…」
「は?いつも見てんだろうが」
「いや、それは同じ生徒会としてはたっくさん見てるけど!そうじゃなくてね」
「じゃあ、どうなんだ」
何が言いたいのかさっぱり分からず、強めの口調で問い詰めてしまうと
引き結ばれていた唇が、不満そうに尖ってゆく
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
「怒ってねェ。何が言いたいのか聞いてるだけだ」
「それが…まぁ、うん。この話はまた後でね」
「ッチ…仕方ねェな。模擬店部門、優勝1-Cのトロフィーと金一封だ」
「ありがとうございます」
深々とお辞儀をしながら賞状を受け取り、トロフィーなどを抱えて一歩下がろうとしたら腕を掴まれた
「!なっ、なに」
「まだ終わってねェ」
「はい?もう全部貰ったよ?」
「総合優勝のクラスを発表する」
ステージ上で繰り広げられる痴話喧嘩を、どこか居た堪れない様子で見ていた生徒たち
またもやローの一声にハッ!と気を引き締め耳を傾ける
「今年の文化祭総合優勝は、1-Cとなる」
クラスの発表とともに、会場は拍手喝采で大盛り上がり
肩を落とす者、喜び笑う者、興味無さげな者など様々だ
「そんなの持てない!」
各部門の物とは比べ物にならないほどの大きさをしたトロフィーを持って、ローがこちらに近付いてくる
しかしセナの腕は既にいっぱいいっぱい
「逃げんな」
「だって、ンッ」
ローは会場から自分たちを隠すようにトロフィーを持ち、目の前の唇に触れるだけのキスをした
「なにするの!」
「キス」
「そうじゃない!みっ、見えてるでしょ!」
「そう言うと思って、トロフィーで隠したんだろうが」
そう言ってニヤリと笑ったローが再びトロフィーを持ち上げ唇を寄せようとする
しかし触れたのは、セナの持っていたトロフィー
「…オイ」
「見えてるんだってば!」
「だからちゃんと隠して「ステージ袖から見えてるのっっ!!」……」
言われた方向を振り向けば、気まずそうに視線を逸らしたシャチとペンギンとコラソン
何故かコラソンは真っ赤である
「…ね?」
「ハァ…あとで覚悟しろよ」
「?!」